小学生の音読
夏頃から、小学生の授業は国語が中心になっているのですが
明治大学の齋藤 孝先生の「理想の国語教科書」の名文音読をしています。
これまで、夏目漱石「夢十夜」、小林秀雄の「人形」、トルストイ「ひとにはどれほどの土地がいるか」
菊池寛「勝負事」そして今は中島敦「名人伝」を順番に何度も音読しています。
夢十夜が、私はロマンチックで(意外!)好きなのですが
夢十夜は恋や愛を、
人形で、人への気遣いを
人には・・・や勝負事で経済感覚を
名人伝で、自分を鍛えること
を学べているんじゃないかな。
国語、といっても切り離された科目ではありません。
そして名文には社会性や、人間の芯になるものに働きかける力がありますね。
■「よくわかんない」
昨日の生徒は「勝負事」を読むのが3回目の生徒でした。
感想を聞くのですが
はじめは「よくわかんない」と。
「勝負事」の話を簡単にお伝えすると
以前は豊かな暮らしをしていた友人の家族が
これまで持っていた土地で、小作人になるほど
たいへん落ちぶれました。
友人も修学旅行に行けないなど貧しい思いをし、
親から勝負事を戒められたのですが
その原因は祖父の賭博癖。
その祖父の様子などを描いた作品です。
説明下手ですみません。
ただそんな話です。シンプルです。
でも
「よくわかんない」のは
正義と悪がはっきりしないからかなあ、と
いわれて感じました。
ギャンブルにはまる人=よくない人
というシンプルな図式ではなく
ギャンブルにはまって、家族を貧しくしたのが
愛すべき祖父であること。
とかく、正義と悪をわけがちな最近ですが
人間の社会の複雑さを感じて欲しいなあと
思っています。
はじめは
大きな賭場で大きな勝負をしていた祖父ですが
最後は、孫と遊びで勝負をするのですが
それに対して生徒が
「はじめから子どもや孫と小さな勝負をしてればよかったのに」
と発言していました。
そうはいかないんだよなあと。
そこからまあいろんな話し合いをしたりするわけです。
多様な価値観を理解する大人が一人でも増えて欲しいなあと
思っています。
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